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こんにちは!
多治見市・土岐市・瑞浪市・恵那市・中津川市など、岐阜県東濃エリアを中心に「温熱設計×デザイン」をテーマに家づくりをしている株式会社一建の山田勇輝です。
今回は、エアコンの選び方についてです。
18畳のLDKなら18畳用、6畳の寝室なら6畳用。エアコンを選ぶときはこのように実際の部屋の広さに合わせて選ぶことが多いのではないでしょうか?
ただ、現代の住宅の冷暖房負荷を計算する中で実際の部屋の畳数とエアコンの畳数表示が一致することはないと言っても過言ではありません。
実際に一建の家で18畳程度のLDKを負荷計算すると、
暖房負荷:約1.3kW
冷房負荷:約3.1kW
という結果になることがあります。
エアコンのクラスに置き換えると、暖房は6畳用クラスでも大きすぎる程度、冷房は10~12畳用クラスです。
18畳の部屋だからといって、18畳用の能力が必要になるわけではありません。では、なぜこれほど違うのでしょうか。
エアコンの「畳数のめやす」は、日本電機工業会規格JEM-1447に基づいて表示されています。
この規格では、木造戸建住宅や鉄筋集合住宅などについて想定された1㎡あたりの冷暖房負荷とエアコンの能力から、適用できる床面積を算出しています。
例えば2.2kWクラスなら「6~9畳」、4.0kWクラスなら「11~17畳」といった表示です。
つまり、本来の考え方は、
「冷暖房負荷 → 必要なエアコン能力 → 適用できる床面積」
という順番です。
ところが実際のエアコン選びでは、
「部屋の畳数 → エアコンの畳数表示」
と、逆から選んでいることが多い。
もちろん「○畳用」という表示は、誰でも簡単に機種を選べる便利な目安です。
ただし、その住宅、その部屋の性能や条件を計算して出された数字ではありません。
だから、実際の部屋の広さとエアコンの畳数表示が一致するとは限らないのです。
エアコンにとって重要なのは、その部屋が何畳あるかではありません。
その部屋にどれだけの熱が出入りするのか。
これが必要なエアコン能力を決めます。
冬であれば、主に外皮や換気によって室内から失われる熱を補う必要があります。
UA値が小さくなれば外皮から逃げる熱は少なくなるため、同じ18畳の部屋でも必要な暖房能力は小さくなります。
一方、夏は外皮から入ってくる熱だけではありません。
窓からの日射取得、人や照明、家電、調理などによる内部発熱、さらに湿気を処理するための潜熱負荷も加わります。
そのため、同じ床面積でも外皮性能、日射条件、換気量、内部発熱などが違えば、必要なエアコン能力も変わります。
なので床面積だけを見ても、本当に必要な能力は分かりません。
ここでもう一度、先ほどの18畳程度のLDKを見てみます。
暖房負荷:約1.3kW
冷房負荷:約3.1kW
同じ部屋でも、冷房と暖房で必要な能力に約2倍の差があります。
これも、負荷計算をすることで分かることの一つです。
冬は高断熱化によって、外へ逃げる熱をかなり小さくすることができます。
一方、夏は断熱性能だけではなく、日射取得や内部発熱、潜熱負荷なども処理する必要があります。
そのため今回のように、暖房は6畳用クラスで能力を満たすのに、冷房では12畳用クラスが必要になる
ということもあります。
ここで重要なのは、
「高性能住宅なら小さいエアコンでいい」という話ではない
ということです。
小さいエアコンを選ぶために負荷計算をするのではありません。
冷房と暖房、それぞれに必要な能力を知るために計算します。
反対に「能力不足が心配なら、大きめのエアコンを付けておけばいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、エアコンに関しては大は小を兼ねるとは限りません。
ここで知っておきたいのが「定格能力」です。
例えば「冷房能力4.0kW」と表示されているエアコンであれば、決められた試験条件における基準となる冷房能力が4.0kWという意味です。
実際のエアコンはインバーターによって能力を上下させるため、常に4.0kWで運転しているわけではありません。
エアコンには機種ごとに運転できる能力の範囲があります。
そのため、必要な負荷に対して能力が大きすぎれば、低い能力で安定して連続運転するのではなく、短時間で設定温度に到達して運転を弱めたり、条件によっては停止と再運転を繰り返したりすることがあります。
特に冷房では、室温を下げると同時に室内の湿気も取り除いています。
必要以上に大きな能力で室温だけが早く下がり冷房運転が弱くなれば温度は下がっているのに湿度が十分に下がらないということも起こり得ます。
つまり、エアコンは大きければ大きいほど快適になる設備ではありません。むしろ必要以上に大きくするとデメリットが増えていくと言えます。
空調は必要な負荷に対して、適切な能力を選ぶことが重要です。
今回一番伝えたいのは、「18畳のLDKには6畳用エアコンを付ければいい」ということではありません。
今回の住宅では、計算した結果として暖房負荷が約1.3kW、冷房負荷が約3.1kWになったというだけです。
住宅が変われば、当然結果も変わります。
18畳だから18畳用。高断熱だから6畳用。能力不足が心配だから大きめ。
どれも、必要な能力を計算せずにエアコンを決めているという意味では同じです。
エアコンを選ぶ前に知るべきなのは
「この部屋は何畳あるのか」ではなく、「この部屋には何kWの冷房能力と暖房能力が必要なのか」です。
住宅を設計するときには、断熱性能を計算し、日射を考え、換気を計画します。
そこまで設計しているのであれば、最後に室内環境をつくるエアコンも畳数だけで決めるのではなく、その住宅に合わせて選定するべきだと考えています。
そのため一建では、家全体を一括りにするのではなく、個室単位で冷房負荷・暖房負荷を計算し、その結果からエアコンを選定しています。
性能の良い家をつくるだけでは、快適な室内環境は完成しません。
住宅の性能を把握し、その性能に合った設備を選び、狙った室内環境をつくる。
そこまで含めて、私たちは温熱設計だと考えています。
参考資料
・資源エネルギー庁「エアコンディショナーの畳数目安、測定方法について」
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